いつもご来店いただいている皆様に感謝の氣持ちでいっぱいです!
6月は梅仕事、らっきょう作りなどに勤しむ月ですね。他に新生姜の甘酢漬け、ビワのコンポート、赤紫蘇シロップなど、保存食作りがワクワクと楽しい時期でもあります。保存食はもちろん、旬の食ベ物を美味しく味わう目的もありますが、災害時の備えにもなりますし、どくだみエキスや梅肉エキスのように健康の為に食薬として使えます。以下、保存食の大切さを料理家の近藤ゆりこさんに教えてもらいました。「発酵deおいしい漬物レシピ」、「5分で出来る漬物レシピ」もご参考にしてくださいね☆
近藤ゆりこさん 料理家・発酵料理研究家・フォロワー数3万人の人氣 "和えもの" インスタグラマー。著書「味噌、醤油、米酢、みりん、お酒 伝統発酵調味料の魅力 ~四季のレシピ付き~」、「軽やかな和えもの ~味噌・醤油・酢・みりん・お酒でつくる季節の野菜料理レシピ~」 和ごはん研究家 yuriko2yuri 和えものクリエイター aemononomiryoku
「ない」を「豊か」にする日本
ご存じの通り、日本人の食生活は世界でもとても注目されています。でも、それは現代の日本の食生活ではなく、あくまで伝統的な日本の食生活です。自然に恵まれ、四季の食材に恵まれた日本には、豊かな独自の食文化があります。それらの多くは現代と異なり、電氣などもなく、厳しい自然と向き合って暮らしてきた昔の日本人の知恵の数々が作り上げてきたものなのです。どれも今の時代にこそ取り入れたい素晴らしいものばかりだと思っています。それは、「ない」状況をどうやって「ある」にするか、さらには、「ない」をどうやって「豊かなものにするか」という、とても前向きな発想から作られたものだと思うから。その代表的なものが「保存食」。日本ほど豊かな保存食がある国は他にはないと言われています。
保存食のすごさ
保存食の主なものには、以下のようなものがあります。
◆『塩漬け』したもの(梅干など) ◆ 微生物の働きにより『発酵』させたもの(味噌や様々な漬物など) ◆ 干して『乾燥』させたもの(魚の干物や高野豆腐など)
これらには、いざという時のために保存するという役目だけではなく、それらをさらにどうやって美味しくするか、という日本人の食に対する探究心も感じられます。どれも、作ることで旨みがぎゅっと詰まったり、食材そのものに風味がついたり、また新たな奥深い味わいへと変化することで、とても美味しくなるわけです。そして、さらにこれらは腸内環境を整えたり、栄養がアップしたりと、私たちの健康面も支えてくれるということが科学的にわかっています。保存食は、長期保存という機能性だけではなく、健康を向上する食薬でもあるのです。
あると安心便利な保存食
保存食ってよく聞くけれど、実際、あるとどう便利なの?という風に思われている方もいらっしゃるかもしれません。これからご説明する保存食は、田舎の大きなおうちでなくても、どんなご家庭でも場所を取らずに作れるものです。しかも、何か特別な道具が必要なわけでもありません。ご家庭で作れる保存食には、「短期保存」と「長期保存」と大きく2つに分けることが出来ます。
短期保存 保存期間:数日~10日、長いもので1ヶ月程度
◆ 作るのがとても簡単!時間をかけずに作ることができる。 ◆ 身近な野菜や余っている野菜・食材を使って作れる。 ◆ 塩分をそこまで必要としないため、誰でも食べやすく野菜をたっぷり摂ることができる。 ◆ 時間や作る氣力のないときでも、野菜料理一品として食卓に並べることができる。 ◆ 腐らせてしまいそうな野菜、余っている野菜を保存食に変えてしまうことができる。
長期保存 保存期間:半年~1年以上
代表的なもの:梅干、らっきょう、味噌など、塩分も多めでしっかり発酵させたものなど
◆ 多少手間はかかるものの、一度作ってしまえば長期で保存が効くため、しばらく作らなくてもいい。 ◆ 災害時など非常事態食として大きな助けとなる。 ◆ 時が経つにつれて、味わい深くなる楽しみがある。 ◆「我が家の味」を持つことが出来る。
このように、短期保存食と長期保存食にはそれぞれメリットがありますので、ご自分の生活スタイルなどに合わせて作られると良いでしょう。 特に今後は、長期保存の保存食を作っておくと、この先「これがあって良かった!」と思う時が来るかもしれません。また、我が家の場合は、昔祖父がせっせとたくさん作っていた梅酒を祖父が亡くなってからも家族で懐かしみながら美味しくいただくことが出来て、感慨深いものがありました。 梅干しやらっきょうなどは、おばあさま、お母さまから引き継がれている味があったり、好きな料理研究家さんのレシピを真似したりと、個々人のお好みで作られると思いますので、ここでは、短期保存用のどなたでも作れるおすすめレシピをご紹介したいと思います。尚、保存食を作る上での注意点として、しっかりと手洗いして、保存袋や保存容器、調理器具は清潔なものを使用するようにしましょう。
くらしのたのしみで人氣の 自然発酵乳酸菌 や 甘酒、醤油など、伝統発酵食品を使った身体に良くて美味しいお漬物をご紹介します。
自然発酵乳酸菌を使った野菜の乳酸発酵漬け
玄米甘酒をつかった即席べったら漬け
切り干し大根のはりはり漬け
1)自然発酵乳酸菌を使った野菜の乳酸発酵漬け
通常、浅漬けは野菜に塩を振り、重石を載せて数時間後から食べられるもの。最近では、野菜を約2~3%の塩水に浸けて、常温で2~3日放置することで自然に乳酸発酵し、少し汁が白濁してきたら冷蔵庫に移して保存する、という「乳酸発酵漬け」も一部の方々の間で流行っています。乳酸発酵により、植物由来の乳酸菌がたっぷり。そして、単なる浅漬けにはない、発酵による酸味や味の深みが加わり、日持ちもする、というメリットがいろいろ生まれます。とはいえ、常温で置いておいて2~3日、というのは慣れないと少し不安を感じる方もいらっしゃると思います。そこで、くらしのたのしみでお馴染みの「ウエダの自然発酵乳酸菌」を使用することで、もっと短時間でシンプルに、そして安心して作ることができるレシピをご紹介したいと思います。自然発酵させた乳酸菌をフリーズドライにしたという、この画期的な「ウエダの自然発酵乳酸菌」は、その摂取の手軽さというメリットだけではなく、お料理に活用できる、という素晴らしさもあるのですよね!そんな「自然発酵乳酸菌」を使った乳酸発酵漬けを今回はきゃべつを使ってご紹介します。 ◎自然発酵乳酸菌のcoboさんでは、「野菜の水キムチ」としてご紹介をされていらっしゃいます。そちらのレシピを参考にさせていただきました。
作り方
1
キャベツを水洗いし、5mm幅くらいのせん切りにする。よく水氣を拭き取る。
2
切ったキャベツを大き目のボウルに入れて、分量の塩を少しずつ混ぜ込む。
3
2を大きなビニール袋(今回はジップ付きの保存袋使用)に移し、袋に少し空氣を含ませてから上下左右に軽く振り、塩を全体に行き渡らせる。
4
3時間ほど置くと水分が出てくるので、「その水分はそのままで」自然発酵乳酸菌を加えて野菜の表面に馴染ませるようにする。
5
4の袋の空氣を抜いて、口をしっかりと留める。(写真:今回はこのようなクリップで留めました)これを冷蔵庫に移す。このとき袋から液体が漏れる可能性があるため、袋を2重にするのがおすすめ。
TIPS
数時間で食べられるようになりますが、数日置いた方がより美味しくなってきます。段々と酸味が出てきますので、それもお楽しみください。 ◆ 冷蔵庫の中でも少しずつ乳酸発酵が進んでいきますので、水分が白く濁り、少し氣泡が出てきます。 ◆ 冷蔵庫での保存期間は「長くて1ヶ月」が目安です。密閉した状態で保存する方が保存期間が長くなるため、使うたびにしっかり空氣を抜いてください。 ◆ 保存容器を使う場合は、表面が空氣に触れないよう、重しをして野菜を液に浸すようにしてください。
coboさんからのワンポイント
「酸味が強くなったものは、加熱すると旨みが出る」とのこと、また「汁にも乳酸菌がたっぷりなので、スープ、鍋、煮込み料理などに活用してください!」とのことです。
2)玄米甘酒をつかった即席べったら漬け
どなたでも簡単に作れる、玄米甘酒を使ったヘルシーなべったら漬けです。本格的なべったら漬けは、大根をまるごと2回下漬けして、そのあと塩抜きして干したものを、ご飯と麹と調味料で作った漬け床で漬けるのですが、やはりそれなりの手間や時間がかかります(場所も必要です)。 そこで、今回はもう少しお手軽に作れる即席べったら漬けです。とは言っても、2~3日しか持たないというのは避けたいところなので、多少の手間をかけて、もう少し保存できるようにしてみました。 普通の甘酒ですと水分も多く、水っぽくなってしまうため、味も薄くなったり、腐りやすくなってしまいますが、玄米甘酒(名刀味噌本舗)は希釈タイプの濃厚甘酒なので、大根から出てくる水分で薄まりにくく、べったら漬けに最適です。また、玄米を使用した甘酒なので、白米の甘酒に比べてより奥深い味わいに仕上がるのもポイント。さほど手間も時間もかからないのに、本当に滋味深い美味しさです! 本来、大根は冬が旬で、冬の水分が減って甘みや旨味が凝縮した大根をべったらにしますが、冬以外の季節でもおいしく作れますので、試してみてください。また、かぶや長芋などを使ってもおいしく作れます。 冬であれば、同じ冬が旬の柚子の皮も入れると香りよく仕上がります。漬け床に残った水分は栄養たっぷりなので、捨てずにスープなどに使ってくださいね!
大根1/2本を縦に4等分に切り、皮を剥く。
大根の重さを計り、その4%の塩を用意して大き目のボウルに入れ、4つの大根の全面に塩をまんべんなくこすりつける。
残った塩と一緒に大根をビニール袋(写真はジップ付き保存袋使用)に入れて軽く揉み、大根をなるべく平らに並べて空氣を抜いて、口をしっかり留める。それを冷蔵庫の野菜室に入れて(冬であれば常温でもOK)その上にバットを載せ、さらにその上に大根の重さの2倍程度の重石を載せる。これにより、浸透圧の働きで大根から水分を出しやすくする。後ほど加える玄米甘酒の味も染み込みやすくなります。 *このときの重石は野菜室にあった雑穀とお餅を載せましたが、かぼちゃやきゃべつなどの野菜でもOK!重ければ重い程早く水分が出ますが、大根がつぶれない程度にすること。
3の状態で2日置いて、出てきた水分をすべて捨てて、水氣をしっかりとふき取る(洗い流さない)。(ここで半日ほど干すとより日持ちしますが、今回は干していません)
4を別のビニール袋(または保存袋)に移し、玄米甘酒、赤唐辛子(入れる場合)を加えて揉みこみ、空氣を抜いて口をしっかり留めて、今度は野菜室でなく冷蔵庫で寝かせる。3日経ったら召し上がれます。
◆ 柚子の皮を入れると、さらに風味がよくなります。 ◆ 2~3週間を目安にに召し上がってください。 ◆ 徐々に水分が出て甘酒も水っぽくなります。そのままでも構わないのですが、もしも氣になる場合は、水分を半分程度出してしまい(スープなどに)、玄米甘酒と塩を少し足してもOKです。
3)切り干し大根のはりはり漬け
パリパリと音がする食感の良さが「はりはり漬け」という名の由来。干した大根を醤油に漬け込んだ保存食ですが、地域によって、切り干し大根だったり割り干し大根だったり、お酢を入れたり入れなかったり、スルメなども入れたりと様々です。米酢を加えることで程よい酸味が加わり、味のバランスがよくなります。切り干し大根を使えば、あっという間に完成します。甘辛い味が染み込んで、ごはんのお供に最高です。
醤油、米酢、酒、みりん、昆布を鍋に入れて弱火にかける。沸騰し始めて1分ほどしたら火を止める。
切り干し大根をさっと洗い、たっぷりの水で15分~20分かけて戻す。
2が戻ったら、しっかりと水氣を絞る。食べやすい長さに切る。
清潔な保存用の容器に1の漬け汁と赤唐辛子を入れ、3の切り干し大根を漬け汁に加えて(まんべんなく浸かるように)冷蔵庫で保存。ひと晩置くと美味しくいただけます。
◆ 保存は3~4週間を目安にしてください。 ◆ 昆布の代わりに塩昆布を入れても美味しいですし、カットする手間が省けます。塩昆布を使う場合は、お醤油を若干減らしてください。
お漬物は時短が良い高橋です笑。私でも簡単に出来る!究極の時短お漬物をご紹介します。それは、和えるだけ!の簡単調味料を使うこと。しかもおいしくて、小料理屋さんのような上品なお味に仕上がりますよ。
1)夏野菜の浅漬け
お好きな野菜を切って、ビニール袋に入れ、麹屋甚平浅漬けの素 をドバドバっと入れて揉み込むだけ!本当に5分で出来るので、娘が幼稚園の頃からお弁当によく入れています。ビニール袋ではなく容器でも良いのですが、その場合はちょっと長めに漬けてくださいませ。ビニール袋で揉み込むことで5分で出来るのです。写真はキャベツと大根、みょうがです。我が家はカブやキュウリ、ニンジンでもよく作ります。
使ったアイテム
2)きゅうりとワカメの酢の物
酢の物は合わせ酢を作るのが面倒、という私みたいな方におすすめなのが、お手間とらせ酢。もう名前からして、お手間を取らせません笑。キュウリを薄切りにして、石垣の塩を振りかけて置いておき、キュウリから出た水分を軽くしぼり、ワカメと合わせて、お手間取らせ酢を適量入れて混ぜます。(私は乾燥ワカメを使っています)料亭のような上品なお味に仕上がりますよ。
説明付き / 写真のみ
1件~12件 (全12件)